「エホバの証人」という宗教団体の名前を聞いたことはあるでしょうか。
自宅に訪問して布教活動を行う姿を見たことがある人や、
「輸血を拒否する宗教」として知っている人も多いかもしれません。
一方で、
- なぜ輸血を拒否するのか
- どんな歴史を持つ宗教なのか
- なぜ問題視されることがあるのか
といった点について、正しく理解している人はそれほど多くありません。
この記事では、
- エホバの証人とはどんな宗教なのか
- どのようにして世界的な組織へ成長したのか
- なぜ社会問題として議論されることがあるのか
を、宗教的背景や歴史とともに、できるだけわかりやすく解説していきます。
エホバの証人の成り立ち
エホバの証人とは
エホバの証人(Jehovah’s Witnesses)は、19世紀後半のアメリカで誕生したキリスト教系の宗教団体です。

〈エホバの証人の公式ロゴ:Wikimedia Commons〉
現在では、
- 約200以上の国と地域
- 約800万人以上の信者
がいるとされる、世界的な宗教組織です。
名前の由来にもなっている「エホバ」は、全てを創造した神とされています。(ギリシャ神話のゼウスみたいな感じ)
キリスト教における神は「イエス」ですが、エホバの証人は「エホバ」を神と定義付けているのです。
「エホバ」は全てを創造した神なので、当然「イエス」を生み出したのも「エホバ」です。
なので「エホバ」に敬意を表しているのです。
キリスト教の分派とされていますが、中身を詳しく見てみるともはやキリスト教とは呼べない程、宗教として違いがあります。
下記ではどのように違うのか、確認していきます。
エホバの証人の創設者
エホバの証人の起源は、「チャールズ・テイズ・ラッセル(1852~1916)」というアメリカ人の宗教家に遡ります。

〈チャールズ・テイズ・ラッセル:Wikimedia Commons〉
彼はキリスト教の経典である「聖書」の教えに疑問を持ちました。
その内容が、
- 地獄説
- 運命予定説
の2つです。
「地獄説」=「そもそも地獄が存在している事」
「運命予定説」=「人間の行先は神によって、天国か地獄か予め決まっている」
この2つがどうしても「ラッセル」には受け入れられなかったのです。
地獄があるのは百歩譲って良いとしても、信仰心が強い人の方が天国に行けるイメージなのに、聖書に運命予定説が書かれているのは割と衝撃ですよね。
「ラッセル」は次々と聖書の納得いかない点をあぶり出し、独自に聖書の研究を進めました。
聖書研究会の誕生
「ラッセル」は仲間達と「聖書研究会」というグループを結成します。
このグループでは、
「地獄説」=「そもそも地獄が存在している事」
「運命予定説」=「人間の行先は神によって、天国か地獄か予め決まっている」
この2つを指摘するのは勿論、他にも納得いかない部分を指摘しまくり、仲間達と独自の宗教を作りあげていきました。
また、ラッセルは「ものみの塔(Watchtower)」という雑誌を創刊し、これが布教活動の中心的な役割を果たしました。

〈ものみの塔(Watchtower):Wikimedia Commons〉
この出版活動が、後の大きな組織化の基盤となります。
エホバの証人という名称の成立
1916年に「ラッセル」が亡くなり、組織は「ジョセフ・ラザフォード」によって引き継がれます。

〈ジョセフ・ラザフォード:Wikimedia Commons〉
1931年、ラザフォードは「聖書研究会」という名称を改め、「エホバの証人」という名前を正式に採用しました。
この名称には、「神(エホバ)の証人として、世界に神の教えを伝える」という意味が込められています。
なぜ世界中に広まったのか
エホバの証人が世界的に拡大した理由には、いくつかの特徴があります。
出版活動の強さ
エホバの証人は、
- 「ものみの塔」
- 「目ざめよ!」
などの雑誌を大量に発行してきました。
これらは世界中の多くの言語に翻訳され、信者によって各家庭に配布されました。
この出版力と配布力が、拡大の大きな要因です。
戸別訪問による布教
エホバの証人の最大の特徴が、戸別訪問です。
信者が各家庭を訪問し、
- 聖書の話をする
- 雑誌を配布する
といった活動を続けてきました。
この活動が、世界的な知名度を高める要因となりました。
クリーンな運営(金銭的な面)
宗教と聞くとお金関係が気になりますよね。
教祖が信者からお金を巻き上げるのをイメージするかもしれません。
しかしエホバの証人に限って言うと、お金の巻き上げは一切行われていません。
年会費は当然なく、エホバの証人の布教により給料を受け取っている人はいません。
その代わり、信者からの寄付によって運営されているのです。
エホバの証人の考えを心から知って貰いたいと、信者の方は考えているのです。
王国会館とは
エホバの証人を語る上で欠かせないのが、「王国会館(おうこくかいかん)」と呼ばれる施設です。
王国会館とは、エホバの証人が集まり、礼拝や聖書の学習を行うための建物の事です。

〈オーストラリア、クイーンズランド州ウィラウォンの王国会館:Wikimedia Commons〉
一般的なキリスト教でいう「教会」にあたる存在ですが、いくつか特徴的な違いがあります。
王国会館の役割
王国会館では、定期的に集会が行われています。

〈ポルトガルの王国会館での集会:Wikimedia Commons〉
主な活動としては、
- エホバの証人独自の経典の勉強会
- 悩み事の共有
- 講話(こうわ)と呼ばれる説教
などがあります。
これらの集会は、週に2回程度行われるのが一般的とされています。
皆さんが想像する勉強会とは少し違く、
- 若者の悩みはどうすれば解決するか
- コロナ禍をどう生きていけばいいか
など、日常の生活で生まれる悩み事を信者同士で話し合い、解決に向けて話しているのです。
王国会館の特徴
王国会館には、一般的な教会とは異なる特徴があります。
例えば、
- 十字架などの宗教的装飾がほとんどない
- シンプルな内装
- 信者による管理・運営
といった点が挙げられます。
上記の写真の様子からも、協会とは何となく雰囲気が違うなと感じ取れると思います。
王国会館の建設や維持には、信者による寄付や労働で賄われており、自発的な協力によって成り立っています。

〈イギリス、ストーク=オン=トレント、ビダルフの王国会館:Wikimedia Commons〉
王国会館と地域社会
日本各地にも王国会館が存在しており、住宅地の中に建てられている事も少なくありません。
下の写真は日本の王国会館です。

〈日本の王国会館:Wikimedia Commons〉
見ての通り、普通に歩いていたら全く気が付きません。
- 「近所に王国会館がある」
- 「知らないうちに建っていた」
といった経験を持つ人もいます。
王国会館を拠点として、戸別訪問などの布教活動が行われることが多く、地域との接点になる場所でもあります。
エホバの証人はなぜ問題視されるのか
ここからは、社会的に議論されるポイントを整理します。
「終末論」の考え方
エホバの証人の考え方で特異的なのが、「終末論」です。
「終末論」=「近い将来に地球を滅ぼす災害が起こり、エホバの証人の信者だけが生き残る」という考え方です。
信者は何よりも生き残る事を大切にしている為、教えを頑なに守ります。
しかしこの「終末論」の考え方が、社会との摩擦を引き起こすのです。
以下に例を見ていきます。
輸血拒否を巡る問題
最も大きな問題として議論されてきたのが、輸血拒否です。
エホバの証人を少し知っている方なら、一度は耳にしたことがあるトピックだと思います。
聖書には、
- 血を食べてはならない
との記述があります。
エホバの証人はこの文言に対して、輸血が該当すると考えているのです。
特に問題となるのが、未成年の子どもへの輸血です。
親が宗教的理由で輸血を拒否した場合、
- 子どもの命が危険にさらされる可能性
- 医療現場との対立
が生じることがあります。
子供は大人と比べて体が未熟なので、病気に対する耐性が脆弱です。
しかし親が信者であるが故に輸血を断り、子供を見殺しにする事案も発生しています。
子供からしたら本当に大迷惑ですよね。
子どもへの影響
他宗教との衝突
エホバの証人の家庭では、エホバの証人の教えに合わせて生活が制限されます。
例としては:
- 誕生日を祝わない
- 七夕で短冊を飾らない
- ハロウィンに参加しない
などです。
気づいた方は鋭いですが、上に挙げた例は多宗教の文化です。
極めつけはクリスマスですら、祝うことが出来ません。
キリスト教から派生した宗教ですが、信仰しているのは「エホバ」なので、キリストの誕生日であるクリスマスは祝わないのです。
特に日本は様々な宗教の文化が混在する国ですよね。
子供達は他宗教の文化と接する事が出来ず、日常生活に支障をきたす事があるのです。
体罰の正当化
エホバの証人では、体罰が公認されています。
子供が教えに反する行動をするのは、変な悪霊が取り憑いていると解釈します。
体罰を行う事で悪霊を追い出し、淀みなくエホバの証人を信仰出来ると考えられているのです。
退学の危機
一番酷い事例は、エホバの証人によって退学処分になってしまったパターンです。
とある事例では、親が子供を剣道の授業に参加させず、必修単位を修められずに退学になってしまいました。
剣道は日本の文化なので、エホバの証人としては受け入れられないと判断したのです。
親が熱心な信者過ぎると、子供が受ける影響が大きくなってしまうのです。
まとめ
エホバの証人は、19世紀アメリカで誕生したキリスト教系宗教であり、現在では世界中に広がる大きな宗教組織となっています。
特徴として、
- 戸別訪問による布教
- 輸血拒否
- 厳格な生活規範
などが挙げられます。
一方で、
- 医療との衝突
- 子どもへの影響
などが社会的に議論されることもあり、現在も様々な意見が存在しています。
宗教は個人の自由に関わる重要なテーマでもあるため、一方的なイメージだけで判断するのではなく、歴史や背景を理解する事が大切です。
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