皆さんこんにちは、パルです!
今回は地租改正について解説します!
学校ではサラッと習う箇所ですが、国の政策を揺るがす大きな変更でした。
これまでの税金の徴収の仕方を、どこが変わったのか詳しく見ていきます!!
地租改正とは
地租改正とは、1873年(明治6年)に制定された地租改正条例によって実施された、土地制度・課税制度です。
目的は「現金で税を集めることで、安定した収入を確保する」です
しかし現状の年貢という制度では、米の価格が安かったり米が穫れなかったりすると、現金と両替した時に得られる税金が減ってしまいます。
そこで考え付いたのが、米ではなく最初から現金で税金を取る方法でした。
この制度によって土地の所有者をはっきりさせ、その人たちから税を取る仕組みを完成させました。
なぜ行われたのか
政府はお金を必要としていました。
明治時代になり、海外の進んだ文化をどんどん取り入れ近代化し、欧米列強と肩を並べるのが目標でした。
しかし近代化には、新しい施設を建てたり産業に資金を投資したりと、何かとお金がかかります。
毎年安定した収入がなければ、計画を立てづらくなってしまうという訳です。
以下に大きな理由を列挙します。
現物納の不便さを改善
江戸時代まで、農民は米などの農作物を年貢として領主に納めていました。
奈良時代は租(米)・調(特産物)・庸(布)などでしたよね。
このように国に対して、物で納める税金の事を「現物納」と言います。
元物納には大きな弱点が2つあります。
①毎年農作物の収穫高に変化がある為、税収が不安定
最大の理由はこれです。
虫の被害や悪天候による不作など、農作物は様々な要因で収穫高が変化します。

しかしこれでは国の税収も不安定になり、思い切った投資なども出来なくなってしまいます。
②単純に管理が面倒
想像してほしいのですが、「お金を管理」するのと「お米を管理」するのって、どちらの方が手間がかかりそうでしょうか。
当然お米ですよね。
場所も取りますし、ネズミなどに食べられないように対策する必要もあります。

お米自体を保管するのに、コストが発生するのも現物納の弱点です。
不平等の是正
大都市の江戸や大阪には現在もですが、農地は殆どありません。

〈画像:Wikimedia Commons〉
しかし住居を構えている人は沢山いました。
実は大都市に住んでいる人には、年貢(税金)を納める義務は無かったのです。
これ割と衝撃ですよね。
当時の人も、この不平等な課税制度に不満を持っている人々が多かったのです。
欧米列強を参考
欧米列強を産業革命も終わり、税金は勿論貨幣や紙幣で納めていました。
そして国のシステム自体も、金本位制や銀本位制を採用していました。(金や銀の保有量までしか、お金を発行できないシステム)
縛りがあるように見えますが、金や銀と交換できるという「信用」があるというのが非常に重要なポイントです。
日本もこのシステムを導入したかった為、紙幣や貨幣の経済に早く切り替えたかったのです。

〈画像:Wikimedia Commons〉
地租改正の内容
地券の発行


〈画像:Wikimedia Commons〉
上の画像は「地券」の表と裏です。
書かれている内容は「所有者名」「番地」「面積」「地価」「地租」などが記載されています。
地券によって土地の価値が明確になり、これが現在の不動産という資産の考え方の基礎となりました。
地租は地価の3%
今回一番重要と言っても過言ではありません。
農民達が払う税金は、「地価の3%」です。
地価が1万円だとすると、納める税金は300円という事です。
地券は当然明治政府が発行しているので、全国にどれくらいの土地があり、毎月どれくらいの収入を得られるか一目瞭然です。
「分かりやすく安定している事」こそ、地租改正の最大の意義なのです。
地租改正の影響
政府の収入は安定
何度でも言いますが、地租改正によって政府の収入は安定しました。
これから起こる殖産興業や軍備増強に向けての収入確保が、ある程度達成されました。
地租改正が完成した1880年の政府予算を見ると、4分の3が地租でした。
それほど大事な財源だという事が分かりますね。
現物納から現金への移り変わりは必ず抑えましょう!
地租改正反対一揆勃発
1881年~1891年にかけて、松方財政が展開されます。
圧倒的な緊縮財政により、世間はデフレーションになりました。
デフレーションになるという事は、物の価値が下がるという事です。
そして農民達の収入源と言えば、「お米」です。
しかしお米の価値が下がったので収入も減少し、生計を立てる事が出来ず、生活が極限まで困窮しました。
こうして農民が地租改正に反対する、地租改正反対一揆が勃発します。
三重・愛知・岐阜・大阪などで大規模な一揆を起こしました。
これを伊勢暴動と言います。

〈画像:Wikimedia Commons〉
暴動に対して政府は地租を3%から2.5%に下げ、農民の怒りを鎮めようとしました。
能美が声を上げる事で、政府に要求を通した珍しい事例です。
寄生地主制のきっかけ
凶作や地租を支払えなくなる状況が発生すると、自作農(自分土地を自分で土地耕して税金を納める人)は小作農になるしかありません。(小作農は他人の土地を借りて、税金を納めている人)
その隙を見て、財力のある地主達は自作農が手放した土地を買い集めていきました。
沢山の土地を集め自らは農業をせず、小作人から受け取る小作料だけで経営をする体制を「寄生地主制」と言います。
戦後の農地改革まで、寄生地主制は続きました。
寄生地主制がいかに貧富の差を拡大させたが分かります。
受験生の方へ
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