【百人一首解説】NO.86 西行法師

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今回の和歌

嘆けとて 月やはものを 思はする
かこち顔なる わが涙かな

〈画像:Wikimedia Commons〉

現代語訳

現代語訳

「嘆け」と言って、月が私を物思いにふけらせようとするのだろうか?いや、そうではない。

月のせいだと恨めしそうな顔をしているのは、私の涙なのだなぁ。

語句解説

【嘆けとて】

 「嘆け」= 動詞「嘆く」(なげく・悲しむ)の命令形。

 「とて」は理由や原因を表す格助詞で、「~と言って」という意味。

「月が私に嘆けと言って」という意味。

【月やはものを】

「やは」= 係助詞の「や」「は」が複合した形で、反語を表します。

反語の訳し方は「~するのだろうか?いやそうではない」です。

 「もの」=「こと」「物事」の意味で、 「を」は格助詞です。

【思はする】

 動詞「思ふ」未然形 + 使役の助動詞「す」の連体形。

「やは」の結びが「する」になっています。

 「思わせる」「思い起こさせる」という意味。

【かこち顔なる】

「かこち」= 「他人のせいにする」「恨めしく思う」の意味。

「顔なる」=「顔である」という意味で、「なる」は断定の助動詞。

今回は他人 = 月なので、「月のせいにする」という訳になります。

【わが涙かな】

 「かな」は詠嘆の助詞。

 感情を込めて「〜だなあ」という意味。

私の涙なのだなぁ」という訳です。

作者: 西行法師

西行(さいぎょう)〈1118年 ~ 1191年〉

〈画像:Wikimedia Commons〉

平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した僧侶であり、出家する前は佐藤義清(さとう よしきよ)と言います。

元々は北面の武士(上皇の印を守る武士)でしたが、出家して仏門に入り全国を旅しながら和歌を詠み続けました。

西行は自然や人生の無常を深く感じ取り、その感性を反映した叙情的で情感豊かな和歌を多く残しました。

簡潔ながらも心に響く表現と、人生の儚さや人間の孤独を詠み込む作風が特徴です。

彼の歌は多くの人々に愛され、後世の歌人や文学者にも大きな影響を与えました。

また、西行は旅の中で出会った風景や人々との交流を通じて、仏教的な悟りや世俗を超えた境地を詠むことが多く、単なる個人的感情の表現を超えた深い精神性を持っています。

彼の歌集『山家集』は彼の代表作として知られています。

鑑賞:恋の悩みと涙、月を眺めると🌗

月を見つめながら自分の心の内にある物思いの深さを繊細に描き出しています。

「嘆けとて 月やはものを思はする」と詠む事で、詠み手はまるで月から嘆くように促されているかのように感じ、その光に誘われて物思いにふけってしまう心情を表しています。

月は古来から孤独や思慕の象徴とされ、この歌でもその役割を担い、感情の動きを静かに映し出しています。

「かこち顔なる わが涙かな」という表現は、自分の涙が恨めしげな表情をしていると感じるほど、深い悲しみや苦しみが心を支配していることを示しています。

涙はまるで自分の心そのものが嘆き顔をしているかのように捉えられ、その苦悩の深さが際立ちます。

静かな月夜の情景の中に内面の激しい感情が巧みに織り込まれ、繊細かつ情緒豊かな世界が展開されています。

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