【百人一首解説】NO.70  良暹法師

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今回の和歌

寂しさに 宿を立ち出でて 眺むれば
いづこも同じ 秋の夕暮れ

〈画像:Wikimedia Commons〉

現代語訳

現代語訳

寂しさにたえかねて、住まいを出て外を眺めてみると、

どこを見ても同じように、もの悲しい秋の夕暮れであった。

語句解説

【寂しさに】

「寂しさのあまり」の意味。

「に」は原因・理由を表します。

【宿を立ち出でて】

「宿」= 住まい、庵(いおり)など。

ここでは自分の住む場所。

「立ち出づ」は「立ち去る」「出て行く」の意味。

「て」は連用形の接続助詞です。

【眺むれば】

「眺む」=「物思いにふけりながら景色を見る」

「眺む」の已然形 + 接続助詞「ば」がつき、「〜すると」という意味を表す順接の確定条件を表します。

【いづこも同じ秋の夕暮れ】

「いづこ」=「どこもかしこも」という意味。

古典和歌で特にもの悲しさの象徴とされる時間・季節の組み合わせ。

この当時の流行りの情緒的な定番表現です。

作者: 良暹法師

良暹(りょうぜん)〈生没年不詳〉

平安時代中期の天台宗の僧侶であり歌人です。

三十六歌仙にも選ばれている程、当時高く評価された人物の一人です。

彼は俗世を離れて仏道修行に励む一方で、和歌の世界でも名を残しました。

僧侶としての立場から、人生の無常観や孤独感、自然への感受性を繊細に表現した歌が多く見られます。

この和歌が収められている『百人一首』や『後拾遺和歌集』などでは、旅の孤独・寂しさ、そして「人がいても心が通じない」ような精神的な寂寞を描く表現に長けており、素朴で深い情感が特徴です。

鑑賞:気づいた恋の悩み、成就した先に🌇

作者が感じた深い寂しさを、秋の夕暮れの情景と重ねて詠んだ作品です。

「宿を立ち出でて」とあるように、住まいを出て外に出てみたものの、どこを見ても風景は同じで、心を晴らすような変化も慰めも見つかりません。

秋の夕暮れという時間は、古来より「もののあはれ」を最も強く感じさせる情景とされ、ひときわ孤独や哀愁が深まる時間帯です。

その寂しさを自らの内面と重ね合わせ、「自分だけでなく、どこへ行っても同じように世界は寂しいのだ」と、普遍的な孤独感を静かに語っています。

また、「いづこも同じ」という表現には、どこにも慰めを求めることができない、諦念や達観の境地も感じさせます。

僧侶という立場から見える、無常観や人生の孤独といった哲学的な視点も、この一首には色濃く表れています。

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