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【百人一首解説】NO.3  柿本人麻呂

百人一首

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あしびきの 山鳥(やまどり)の尾の しだり尾の
長々し夜を ひとりかも寝む

〈画像:Wikimedia Commons〉

現代語訳

山の中に住む山鳥の、垂れ下がった長い尾のように、

この長く感じられる夜を、私はひとりぼっちで眠るのだろうか。

語句解説

【あしびきの】

山を詠む時によく使われる枕詞。直接の意味はありませんが、今回は「山鳥」という言葉につながる導入部。

【山鳥の尾の】

山に住む雄の鳥(ヤマドリ)の長い尾を指します。

【しだり尾の】

「垂れ下がった尾」のこと。山鳥の尾は非常に長く、それが地面に垂れ下がる様子を表しています。

以下が山鳥です。尾が長いのが分かります。

〈画像:Wikimedia Commons〉

もっと尾が長い山鳥も多数存在するので、検索してみて下さい!

【長々し夜を】

「長く感じられる夜」のこと。

ここでは実際の時間の長さというより、精神的な孤独や寂しさによって長く感じる夜です。

【ひとりかも寝む】

「(愛しい人もいない)こんな長い夜を、自分は一人で寝るのだろうか」という意味。

「か」は疑問や詠嘆を表す係助詞、「も」は強調の助詞、「む」は推量の意味で使われています。

「かも寝む」で、「〜してしまうのだろうか(自分は)」という迷いや不安の気持ちを含んでいます。

作者柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

飛鳥時代の代表的な歌人で、『万葉集』を代表する人物の一人です。

彼の詠む歌は、叙情性が豊かで、風景と感情を巧みに重ね合わせる技に長けていました。

特に恋の歌や旅の歌においては、後世の人々から「歌聖(かせい)」とも称される程、高く評価されてきました。

彼の実像は不明ですが、島根県の石見地方に左遷されたという伝説や、悲恋の歌が多いのでロマンチックな人物像としても語られる事が多いです。

兵庫県明石市には「柿本神社」(下の写真)もあり、神様として祀られています。

〈画像:Wikimedia Commons〉

🦜 鑑賞:自然と恋心が響き合う美しい一首

この歌の鑑賞のポイントは、自然の情景を借りて自分の心情を映し出す繊細な表現力です。

山鳥の尾の「長さ」を、寂しく眠る夜の「長さ」に重ねているところに、詩的な想像力が感じられます。

ただ「寂しい」と言うのではなく、山の鳥の姿を通してその寂しさを表現する事で、情感がより深まり、聴く者の心に残る歌となっています。

また、山鳥は雄と雌が夜に別れて眠るという習性があるとされています。

それに自分を重ねて、「あの鳥もひとりならば、自分もまた、ひとりで過ごすしかないのか…」という、孤独な思いを受け入れようとする切なさも込められています。

自然と山鳥の習性と、寂しさで溢れている恋心を併せた、柿本人麻呂らしい和歌になっています。

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