皆さんこんにちは、パルです!
今回は明治政府初期の制度について解説します!
明治初期は試行錯誤しながら政治体制を構築している為、頻繁に制度が変わります。
教科書を読んでいるだけだと、なんで変わったのかよく分からなくなるので、ここで流れを追っていきます。
前回解説した戊辰戦争を同時で行われている事なので、戦争は戦争、政治は政治で分けて覚えていきましょう!
↓戊辰戦争の復習を行いたい方は、こちらをご覧ください!↓
明治初期の制度
1867年、王政復古の大号令行われ、日本に明治政府が誕生しました。
明治政府の中心メンバーは倒幕を成し遂げた薩摩藩・長州藩の志士達です。
江戸幕府の政治体制に不満を持っていたメンバーですから、これからの日本はどんどん変わっていくぞという意思表示をします。
それが五箇条の御誓文です。(右の仕切りの中に座っている方が明治天皇)

〈画像:Wikimedia Commons〉
五箇条の御誓文の内容は以下の通りです。
一、広く会議を開き、すべてのことをみんなで話し合って決めるべきである。
一、上司と部下は心を一つにして、精力的に仕事を進めるべきである。
一、官僚から武官、そして庶民に至るまで、それぞれが自分の願いを叶え、人々が不満を抱かないようにすることが大切である。
一、古い悪い習慣を捨て、普遍的な道理に基づいた行動をするべきである。
一、世界から知識を集め、日本の国を大きく発展させよう。我が国はかつてない大きな変革を遂げようとしている。私は国民の先頭に立ち、天地神明に誓い、この国のあり方を定め、万民が平和に暮らせる道を開こうとしている。皆さんも、この私の考えに基づき、心を一つにして努力してほしい。
江戸時代とは全く違う時代の到来を感じさせますね。
印象的なのは一条目の「広く会議を開き」です。
徳川の時代では一部の有力者のみが政治を動かしてきました。
明治時代では民衆も政治に参加させ、意見を反映し、海外列強に肩を並べようとする意識がこの言葉に込められています。
一方で、民衆向けには「五榜の掲示」が出されました。
以下が内容です。
第一札:五倫道徳遵守
第二札:徒党・強訴・逃散禁止
第三札:切支丹・邪宗門厳禁
第四札:万国公法履行
第五札:郷村脱走禁止
こちらの内容自体は覚える必要はありません、江戸幕府の農民に対する基本的な方針を引き継いでいると考えて大丈夫です。
その後、明治政府を運営していく為に、新たな役職が置かれました。
それが「三職」です。

〈画像:Wikimedia Commons〉
「天皇」をトップに据えた上で、その下に「総裁」、「議定」、「参与」を置くシステムを指します。
「総裁」には「有栖川宮熾仁親王」が就任しました。(下の写真)

〈画像:Wikimedia Commons〉
一方で「議定」=「皇族・公家・大名」、「参与」=「下級貴族・下級武士」が就任しました。
その後「三職七科」、「三職八局」を挟みますが、詳しい事は覚えなくて大丈夫です。(一応写真は載せておきます)
〈三職七科〉

〈三職八局〉

〈画像:Wikimedia Commons〉
試行錯誤しましたが上手くいかなかったので、考え方を刷新することにしました。
そして出されたのが「政体書」です。
「新しい政治体制について書き記したもの」なので、政体書と言います。
この政体書によって「三職」は廃止され、「七官」を挟んだ後に、「二官・六省」が導入されました。(二官・六省が導入されたのは、版籍奉還の後です)
二官=「神祇官・太政官」を表しています。
神祇官は朝廷の祭祀を司る役職であり、諸国の官社を総轄しました。
一方で太政官は、一般的な政治を担当します。
太政官の下には「民部省・大蔵省・兵部省・刑部省・宮内省・外務省」の六省が設置されました。
またこの時に年号も「明治」と改められ、天皇一代につき一つの元号とする、「一世一元の制」が決められました。
版籍奉還と廃藩置県
江戸時代の土地の管理状況を整理します。
全国の重要な土地は幕府が直接管理する「幕府領(天領)」が置かれていました。
それ以外の土地には「藩」が置かれていて、それぞれの藩の都合に合わせて政治が行われていました。
そんな中、姫路藩が新政府に対して、「姫路藩の土地を天皇に返上し、その代わりに土地の支配を認めてほしい」と申し出ました。
この行動の意味を説明します。
姫路藩が元々幕府寄りの藩だったので戊辰戦争でも幕府側に就いており、新政府からいい顔をされていませんでした。
そこで天皇に土地を返すと申し出る事により、新しい時代で汚名返上しようと考えたのでした。
この申し出を受け入れ、「薩長・長州・土佐・肥前」も4藩も追従し、その他の藩を天皇に土地を天皇に返還しました。
この出来事を「版籍奉還」と言います。
版=土地、籍=戸籍(人民)を、それぞれ意味しています。
版籍奉還に伴い、大名は「知藩事」という名前に変わりました。
しかしこれは名目が変わっただけで、実際には何も変わっていません。
政府が目標は、藩や大名をクビにして政府の息がかかった人物を各県に配置する事です。
しかし実行に移せば、批判が殺到する事待ったなしです。
そこで政府は薩摩・長州・土佐の兵士を集めて、反乱が起きた時の武力を用意しました。
その軍隊の事を「御親兵」と言います。
こうして満を持して、「廃藩置県」を断行しました。
廃藩置県で変わった事を以下に纏めます。
- 知藩事はクビになり、代わりに県知事が派遣された。
- クビになった知藩事は、東京で年金生活が始まった。
- 藩も廃止され、県が置かれた。
御親兵を用意していた為、知藩事からの抵抗はありませんでした。
廃藩置県に伴い、またも政治制度が変わります。
「二官・六省」が廃止され、「三院・八省」に変わったのです。
「左院・右院・正院」の三院が設置され、正院の配下に「兵部省・大蔵省・司法省・文部省・宮内省・外務省・工部省・神祇省」の八省が設置されました。
ここまでの政治制度の変遷を以下に纏めます。
「三職」→「三職・七科」→「三職・八局」→「政体書」→「七官」→「版籍奉還」→「二官・六省」→「廃藩置県」→「三院・八省」
試行錯誤してたのは、よく読み取れますね(笑)
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