【百人一首解説】NO.80  待賢門院堀河

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今回の和歌

長からむ 心も知らず 黒髪の
乱れて今朝は ものをこそ思へ

〈画像:Wikimedia Commons〉

現代語訳

現代語訳

この恋が長く続くかどうか、あなたの心はわからないけれど、

昨夜の契りのあと、黒髪が乱れた今朝は、物思いに沈んでいることです。

語句解説

【長からむ(ながからん)】

形容詞「長し(ながし)」の未然形+推量の助動詞「む」。

「長く続くだろうか」という意味。

「長し」は、後に出てくる「乱れて」と「黒髪」の縁語。

【心も知らず】

「相手の気持ちがどうなのかは分からない」という意味。

【黒髪の乱れて】

「黒髪」= 女性の髪のこと。

古典ではしばしば恋や契りの余韻を象徴的に表します。

「乱れて」=「髪が乱れる事」を指しますが、今回は「男女の契りが不安定である事」を暗示しています。

【今朝は】

「今朝は」=今日の朝。

昨日の夜の出来事との対比で使われる。(男と一緒に寝た日の翌朝)

【ものをこそ思へ】

「ものを思ふ」= 好きな人の、恋のもの想いをする意味です。

「こそ」は強意の係助詞で「思へ」という已然形を係結びになっています。

作者: 待賢門院堀河

待賢門院堀河(たいけんもんいんのほりかわ)〈生没年 不詳〉

平安時代後期の歌人で、源顕仲(みなもとのあきなか)の娘です。

崇徳院の生母である藤原璋子(待賢門院)に仕えて、「堀河」と呼ばれました。

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文化的な教養に恵まれた彼女は、繊細で洗練された和歌を多く詠み、恋愛や季節の移ろいを美しく表現しました。

その作品は『後拾遺和歌集』や『千載和歌集』など、多くの勅撰和歌集に収められており、平安時代の宮廷文化を代表する歌人の一人として後世に影響を与えています。

鑑賞:どこまで信じていいの、貴方からの言葉💭

恋の不安と切なさを黒髪の乱れた情景を通して巧みに表現しています。

相手の心がどうなのか分からない」という不確かな思いが、昨夜の契りの後の朝の乱れた黒髪に映し出されています。

一夜を共にして黒髪が乱れたが、それ以上に私の心が乱れているというのが女性特有の表現から伝わって来ます。

静かな朝の時間に、揺れる心を抱えて物思いに沈む様子が、短い言葉の中に深く織り込まれており、読者に強い共感を呼び起こします。

また「こそ」の強調が、今この瞬間の思いの切実さを際立たせ、恋のもどかしさや切なさが胸に響く一首です。

感情の機微と自然な情景描写が見事に調和した、繊細で味わい深い和歌と言えるでしょう。

〈~理解が深まる、この和歌の背景!~〉

この歌は百人一首にも歌がある崇徳院の命で作られた「久安百首」にあるものです。

久安百首は与えられたテーマ毎に歌を詠んで、合計で百首にするという歌遊びのようなものです。

この歌が詠まれた時のテーマは、「男が届けてきた歌に対する返歌」でした。

一夜を共にした男から「いつまでも末長く好きですよ」と言葉を、彼女は貰いましたというシチュエーションです。

嬉しい言葉である反面、その言葉をどこまで信じていいのでしょうか。

いつの時代も恋に悩める女性を代表して言ったかのような言葉が、この和歌の内容なのです。

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