【百人一首解説】NO.75  藤原基俊

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今回の和歌

契(ちぎ)りおきし させもが露(つゆ)を 命にて
あはれ今年の 秋も去(い)ぬめり

〈画像:Wikimedia Commons〉

現代語訳

現代語訳

かつてあなたが約束してくれた言葉、あの「させも草の露」のように儚い希望を、私は頼りにしてきました。

けれども、今年の秋もまた過ぎ去ろうとしているのですね。

語句解説

【契りおきし(ちぎりおきし)】

「契りおき」は「約束しておく」という意味。

「おく」は露の縁語。

「し」は過去の助動詞。

「以前に交わした約束」の意味です。

【させもが露(つゆ)】

 「させも草」はヨモギの一種。

「させもが露」はその葉に宿る露で、「儚い物」の象徴として詠まれます。

【命にて】

「頼りにして」という意味。

【あはれ】

「ああ…」という感嘆や感傷の気持ち。

ここでは「しみじみとした嘆き」や「もの悲しさ」を表しています。

【秋もいぬめり】

「往ぬ」は「過ぎる」でナ変動詞の終止形です。

「めり」は推量の助動詞。

「秋も過ぎ去ってしまうことだろう」という意味です。

作者: 藤原基俊

藤原基俊(ふじわらの もととし)〈1060年 ~ 1142年〉

平安時代後期の貴族・歌人であり、名門貴族の家に生まれ育ちました。

文学的素養に恵まれ政治の世界にも身を置きながら、歌人としての才能を磨いていきました。

その生涯の中で、数々の勅撰和歌集に入集を果たし、特に『金葉和歌集』『千載和歌集』『詞花和歌集』などでは、情感豊かで洗練された作品が高く評価されました。

晩年には、歌合(うたあわせ)や和歌所(わかどころ)などにも関与し、源俊頼や西行法師と同時代を生きた文化人としても知られています。

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貴族文化の爛熟期から武士政権の胎動期へと移り変わる動揺の時代を過ごし、無常観や恋の哀しみを詠う歌が際立ち、後世にも強く共鳴されました。

鑑賞:かつての言葉、露と消える💧

かつて交わされた約束や誓いを信じて生きてきたけれど、その約束は結局はかなわず、今年の秋もまた虚しく過ぎてしまったという失望と諦念の感情を痛切に描いています。

「させもが露」とは、させも草(ヨモギ)に降りる露のこと。

露ははかなくすぐに消えてしまうものであり、ここでは「約束」がいかに儚く、頼りないものであったかを象徴しています。

露を命にしてきた、つまりその約束を生きる希望にしてきたのに、結局何も叶わず、秋の季節と共に時は過ぎてしまうという表現に、時間の不可逆性や心の空しさが込められています。

秋という季節も重要な背景で、もののあわれが深まり、別れや衰えを連想させる季節。

その「秋がいぬ」という言葉に、季節だけでなく、希望や愛情までもが過ぎ去っていく感覚が重ねられています。

信じたゆえの苦しみとそれでも信じたかったという想いが、抑えた言葉の中に深く沁みわたる名歌です。

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