【百人一首解説】NO.67  周防内侍

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今回の和歌

春の夜の 夢ばかりなる 手枕(たまくら)に
かひなく立たむ 名こそ惜しけれ

〈画像:Wikimedia Commons〉

現代語訳

現代語訳

春の夜の夢のように儚い手枕のせいで、

無意味なうわさが立ってしまうのは、本当に口惜しいことだ。

語句解説

【春の夜の夢ばかりなる】

「春の夜」= 「春の短い夜のこと」を指し、夢のように儚く過ぎる時間を象徴。

「ばかり」は程度を示す副助詞で、「なる」は断定の助動詞「なり」の連体形。

「短い春の夜の夢のように儚い」という意味になります。

【手枕(たまくら)に】

恋人同士が親しく寝るとき、相手の腕を枕にすること。

恋愛関係を象徴する言葉で、ここでは「一夜の関係」や「儚い恋」を暗示しています。

【かひなく立たむ】

「かひなく」=「つまらない」「意味のない」の意味。

手枕は腕枕をする事で、「腕(かひな)」が掛詞として入っています。

「立つ」=「評判が立つ」「噂になる」の意味。

「~む」は意志・推量を表す助動詞で、「立つだろう・立ってしまうかもしれない」という意味。

【昔は】

「昔」=「つまらない」「意味のない」の意味。

ここでは、逢う前のことを指す。

【名こそ惜しけれ】

「名」=「名誉」や「評判」で、「こそ」は係り結びの文法。

「名誉が惜しいことだ」「評判を落とすのが残念だ」という強調の意味を持ちます。

作者: 周防内侍

平仲子(たいらのちゅうし)〈1037年 ~ 1109年〉

〈画像:Wikimedia Commons〉

平安時代後期の女流歌人で、本名は平仲子(たいらのちゅうし)です。

内侍(ないし)とは、天皇の側に仕えた女官の官職名であり、周防守(すおうのかみ)平棟仲(たいらのむねなか)の娘であったことから、「周防内侍」と呼ばれています。

彼女は宮廷で才色兼備の女性として知られ、和歌の才能にも恵まれていました。

その詩才は藤原定家にも高く評価され、『小倉百人一首』をはじめ、『後拾遺和歌集』『金葉和歌集』など多くの勅撰和歌集に作品が収録されています。

恋多き女性としても知られ、さまざまな貴族との交流や恋愛が記録されており、その経験が和歌に反映されています。

彼女の作品には、女性としての繊細な感情や、恋に揺れる心の機微が巧みに表現されており、今なお多くの人の心を打ちます。

鑑賞:表向きは恋の歌、背景を知ると作者の切れ味に感嘆🛏️

恋の葛藤と名誉を守ろうとする女性の心を、非常に繊細に描き出しています。

「春の夜」は、うららかで心も緩むような優しい季節。

そのやわらかな夜も「夢ばかり」と詠まれている事から、甘美だが儚くすぐに消えてしまうものだと暗示されています。

「手枕」は愛しい人の腕を枕にする恋の象徴であり、一瞬の幸福の隠喩です。

しかし、その恋の喜びも現実には続かない。

ふと我に返った時に、「かひなく立たむ名こそ惜しけれ」と、作者は思いとどまります。

「かひなし」とは「むなしい、甲斐がない」という意味で、自分が恋のために噂される事は、報われないと感じているのです。

〈見方が180度変わる!この歌の背景!〉

二条院(当時の建物の名前)で人々が夜通し楽しく話し合っていた時の事です。

周防内侍が夜遅く眠かったのか「枕がほしい」と呟きました。

彼女の発言のに対し、大納言・藤原忠家(ただいえ)が、「これを枕にどうぞ」と言い、彼の腕を御簾の下から差し入れてきました。(当時は女性の顔は見せない)

「私と一緒に一夜を明かしませんか」とからかったという事です。(現在ならセクハラで通報されますね)

そこで今回の歌を詠み、からかいを切り返したのでした。

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