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今回の和歌
66番 前大僧正行尊(さきのだいそうじょうぎょうそん) 『金葉集』雑・556
もろともに あはれと思へ 山桜(やまざくら)
花より外(ほか)に 知る人もなし

〈画像:Wikimedia Commons〉
現代語訳
現代語訳
せめてあなた(山桜)だけでも、私をいとおしいと思っておくれ。
この世で私を理解してくれるのは、おまえ(花)以外にはもういないのだから。
語句解説
【もろともに】
「一緒に」「共に」という意味の副詞。
「作者自身と桜が同じ気持ちになってほしい」という呼びかけ。
【あはれと思へ山桜】
「あはれ」=「哀れ・情け深い心」を指し、「思へ」は山桜に対しての命令形。
つまり「いとおしく思ってくれ」「共感してくれ」という願い。
感情的なつながりを求める語。
【花より外(ほか)に】
「花」は「山桜」のことで、作者にとって、たった一人の共感者です。
「より」は限定を表す格助詞で、「~以外に」「~のほかに」という意味です。
【知る人もなし】
「知る人」=「理解してくれる人」「心を分かち合える人」の意味。
今回は「理解してくれる人」が、山桜以外にいないという意味です。
作者: 前大僧正行尊
行尊(ぎょうそん)〈1055年 ~ 1135年〉
平安時代後期の天台宗の僧侶であり、同時に優れた和歌の詠み手でもありました。
若い頃から仏道に入り、比叡山延暦寺で修行を積みました。
後に「前大僧正(元大僧正)」という高位の僧職にまで登りつめます。
仏教の世界で高位に就きながらも、行尊は自然や人間の感情への深い共感を込めた歌を多く残し、感受性豊かな歌人としても知られています。
その作風には、孤独・共感・自然との対話といったテーマが見られ、特に今回の一首では、人と断絶された孤独な心情を、山桜への語りかけという形で表現しています。
『後拾遺和歌集』など勅撰和歌集にも多くの歌が収められており、僧侶でありながらも、宮廷文化の中で和歌の才能を高く評価された存在でした。
鑑賞:俗世を離れた作者の、唯一の拠り所🌸
孤独な心情と自然への親愛の情が、繊細に表現された一首です。
作者は人との繋がりを失い、誰にも理解されないという孤独の中にいます。
そんな中で、自分を慰め共に心を通わせられる存在として見つめたのが、目の前に咲く山桜です。
「せめてお前だけでも、自分をあはれ(いとおしい)と思ってくれ」と語りかける姿は、まるで自然に寄り添って生きる孤高の詩人のようでもあり、読者の心に静かな共感を呼びます。
「花より外に知る人もなし」という言葉には、人間関係の断絶と、自然だけが唯一の慰めであるという切実さが出ています。
山桜に感情を投影しながらも、それが虚しくも美しいという印象を与えるのは、行尊が僧侶として世を捨てながらも、心の奥底には人恋しさやつながりへの渇望を抱えていた事の表れとも考えられます。
山桜という存在は、俗世から離れた場所で咲くため、都の華やかな桜とは違い、慎ましく、孤高な存在として知られています。
その花に共感を求める姿は、作者自身の人生観や生き方と重なるような深い詩情を感じさせるのです。
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