【百人一首解説】NO.56  和泉式部

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今回の和歌

あらざらむ この世の外の 思ひ出に
今ひとたびの 逢ふこともがな

〈画像:Wikimedia Commons〉

現代語訳

現代語訳

私はもうこの世にいなくなるでしょう。

あの世での思い出にするために、どうか今一度、あなたにお逢いしたいのです。

語句解説

【あらざらむ】

「あり(存在する)」の未然形「あら」+打消の助動詞「ず」の未然形「ざら」+推量の助動詞「む」。

「生きていないだろう」という意味。

【この世のほかの】

「この世」=現世、つまり今生きている世界。

「外」= 外側、つまり死後の世界・あの世。

全体で「死後の世界」という意味。

【思ひ出に】

思い出は、「死後に思い返す記憶」ということ。

「に」= 「〜のために」「〜として」などの意味の格助詞。

【今ひとたび】

「今」= 現在、「ひとたび」= 一度。

合わせて「今一度」「せめてもう一回だけ」の意味。

【逢ふこともがな】

「逢ふ」= 男女が逢い一夜を過ごすこと。

「もがな」は願望の終助詞で「~であったらなあ」という意味。

作者: 和泉式部

和泉式部いずみしきぶ〈生没年 不詳〉

〈画像:Wikimedia Commons〉

平安時代中期に活躍した女性歌人で、恋多き人生を送りながら、その経験を通して深く繊細な恋の歌を数多く残しました。

彼女は元々中流貴族の家に生まれ、若くして和歌の才能を発揮しました。

夫との死別後、宮廷で活躍しながら、冷泉天皇の皇子・為尊親王(ためたかしんのう)やその弟・敦道親王(のちの帥宮)など、皇族との恋愛でも知られます。

その恋愛遍歴や感情の起伏は、後にまとめられた『和泉式部日記』にも詳しく描かれており、当時の人々に大きな影響を与えました。

和泉式部の和歌は、「生と死、愛と孤独、永遠と儚さ」といった深いテーマを巧みに表現しているのが特徴です。

心の奥底を素直に言葉にすることで、今なお多くの人の共感を呼び続けています。

彼女は晩年出家し、仏道にも関心を寄せるようになります。

恋に生き、歌に生き、やがて人生の無常にも向き合ったその姿は、まさに平安時代を代表する女性歌人の一人です。

鑑賞:最後に一度だけ、死後の世界の想い出の為に🕊️

死を目前にした女性が、最後にただ一度でも愛しい人に逢いたいと願う、極限の恋心を詠んだ一首です。

冒頭の「あらざらむ」という言葉には、自らの命が長くない事を悟った静かな諦めが見えます。

しかしその後に続く「この世の外の思ひ出に」という表現によって、例えこの世を去っても、あの世であなたとの記憶を持ち続けたい、という切なる想いが語られます。

そしてクライマックスである「今ひとたびの逢ふこともがな」には、たった一度でいいから逢いたいという強い願望がこめられており、死にゆく身であっても恋しさが消えない様子が伝わってきます。

この歌の感動的な点は、愛する人への思いが死後の世界にまで及んでいることです。

儚くも純粋な願いは、読む者の胸に深く残ります。

生きているうちにもう一度逢いたい――けれど、それが叶わないかもしれない。

ならばせめて、あの世であなたを思い出せるように、「今」この瞬間を最後の記憶にしたいという切実な願いが、力強く読み手の心に響く名歌です。

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