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今回の和歌
56番 和泉式部(いずみしきぶ) 『後拾遺集』恋・763
あらざらむ この世の外の 思ひ出に
今ひとたびの 逢ふこともがな

〈画像:Wikimedia Commons〉
現代語訳
現代語訳
私はもうこの世にいなくなるでしょう。
あの世での思い出にするために、どうか今一度、あなたにお逢いしたいのです。
語句解説
【あらざらむ】
「あり(存在する)」の未然形「あら」+打消の助動詞「ず」の未然形「ざら」+推量の助動詞「む」。
「生きていないだろう」という意味。
【この世のほかの】
「この世」=現世、つまり今生きている世界。
「外」= 外側、つまり死後の世界・あの世。
全体で「死後の世界」という意味。
【思ひ出に】
思い出は、「死後に思い返す記憶」ということ。
「に」= 「〜のために」「〜として」などの意味の格助詞。
【今ひとたび】
「今」= 現在、「ひとたび」= 一度。
合わせて「今一度」「せめてもう一回だけ」の意味。
【逢ふこともがな】
「逢ふ」= 男女が逢い一夜を過ごすこと。
「もがな」は願望の終助詞で「~であったらなあ」という意味。
作者: 和泉式部
和泉式部(いずみしきぶ)〈生没年 不詳〉
〈画像:Wikimedia Commons〉
平安時代中期に活躍した女性歌人で、恋多き人生を送りながら、その経験を通して深く繊細な恋の歌を数多く残しました。
彼女は元々中流貴族の家に生まれ、若くして和歌の才能を発揮しました。
夫との死別後、宮廷で活躍しながら、冷泉天皇の皇子・為尊親王(ためたかしんのう)やその弟・敦道親王(のちの帥宮)など、皇族との恋愛でも知られます。
その恋愛遍歴や感情の起伏は、後にまとめられた『和泉式部日記』にも詳しく描かれており、当時の人々に大きな影響を与えました。
和泉式部の和歌は、「生と死、愛と孤独、永遠と儚さ」といった深いテーマを巧みに表現しているのが特徴です。
心の奥底を素直に言葉にすることで、今なお多くの人の共感を呼び続けています。
彼女は晩年出家し、仏道にも関心を寄せるようになります。
恋に生き、歌に生き、やがて人生の無常にも向き合ったその姿は、まさに平安時代を代表する女性歌人の一人です。
鑑賞:最後に一度だけ、死後の世界の想い出の為に🕊️
死を目前にした女性が、最後にただ一度でも愛しい人に逢いたいと願う、極限の恋心を詠んだ一首です。
冒頭の「あらざらむ」という言葉には、自らの命が長くない事を悟った静かな諦めが見えます。
しかしその後に続く「この世の外の思ひ出に」という表現によって、例えこの世を去っても、あの世であなたとの記憶を持ち続けたい、という切なる想いが語られます。
そしてクライマックスである「今ひとたびの逢ふこともがな」には、たった一度でいいから逢いたいという強い願望がこめられており、死にゆく身であっても恋しさが消えない様子が伝わってきます。
この歌の感動的な点は、愛する人への思いが死後の世界にまで及んでいることです。
儚くも純粋な願いは、読む者の胸に深く残ります。
生きているうちにもう一度逢いたい――けれど、それが叶わないかもしれない。
ならばせめて、あの世であなたを思い出せるように、「今」この瞬間を最後の記憶にしたいという切実な願いが、力強く読み手の心に響く名歌です。
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