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今回の和歌
50番 藤原義孝(ふじわらのよしたか) 『後拾遺集』恋二・669
君がため 惜しからざりし 命さへ
ながくもがなと 思ひけるかな

〈画像:Wikimedia Commons〉
現代語訳
現代語訳
あなたのためなら、惜しくないと思っていたこの命でさえ、
今では「できるだけ長く生きていたい」と思うようになったのです。
語句解説
【君がため】
「君」=恋しい相手、大切な人。
「〜がため」=〜のために、〜の目的で。
今回は「あなたと逢うために」という作者の気持ちを表しています。
↓「君がため」を使った光孝天皇の和歌を解説しています、こちらもご覧ください!↓
【惜しからざりし】
「惜しから」= 形容詞「惜し」の未然形で、「大切だ、失いたくない」の意味。
「ざり」=打消の助動詞「ず」の連用形。
「し」=過去の助動詞「き」の連体形。
「惜しいとは思わなかった」の意味です。
【命さへ】
「命」= 自分の命そのもの。
添加の副助詞で、「〜までも」「〜さえも」の意味。
【ながくもがなと】
「ながく」=長く生きること。
「もがな」=願望を表す終助詞で、「〜であってほしい」「〜であればよいなあ」という意味。
「願いがかなった今は、長く生きていたいものだなあ」といった願いを表す。【思ひけるかな】
「思ふ」=思う、感じる。
「ける」=過去の助動詞、「かな」=詠嘆の終助詞。
逢瀬を遂げた今、「長くいきたいと思うようになったなあ」と、感情の変化に気づいている様子を表しています。
作者: 藤原義孝
藤原義孝(ふじわらのよしたか)〈954年 ~ 974年〉
〈画像:Wikimedia Commons〉
平安時代中期の貴族で、和歌の才能に恵まれ、若くしてその名を知られるようになりました。
父は右大臣・藤原兼家で、摂関家の一員という名門の出自にありながら、自身は政治よりも文学、和歌の分野で評価を得た人物です。
義孝はその若さと才気あふれる感性から、多くの人々に注目されましたが、残念ながら僅か21歳で病没しています。
そのため彼の作品は数こそ多くはありませんが、いずれも繊細な感情表現と格調のある言葉遣いで知られています。
彼の歌は、『拾遺和歌集』や『千載和歌集』などの勅撰集に選ばれており、後の時代の歌人たちにも影響を与えました。
現代でもその名を知る人は多く、短い生涯ながら確かな存在感を和歌史に刻んだ歌人と言えるでしょう。
鑑賞:変化する恋心、相手を想うほどに💕
心の変化や恋の深まりを、自分の気付きと共に表現した作品です。
元々は相手の為に命を捨てる覚悟すらあったのに、やがてその相手への思いが一層深まり、「出来るだけ長く生きて、傍にいたい」と願うようになったという、心の移りを率直に語っています。
注目すべきは、「惜しからざりし命」と「ながくもがな」という相反する心情の対比です。
前半では自己犠牲の決意を、後半では生への執着と共に、愛する人と長く過ごしたいという願望を語っています。
これは単なる情熱的な恋ではなく、時間の経過とともに生まれる深く穏やかな愛情の芽生えを示しています。
後半では、終助詞「かな」によって、思いがけず自分でも気づいた心の変化に対する驚きや戸惑いが表れており、読む者にしみじみとした余韻を残します。
人生や愛への思いを一首に凝縮した、若き作者ならではの感受性が光る一首です。
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