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今回の和歌
41番 壬生忠見(みぶのただみ) 『拾遺集』恋一・621
恋すてふ(ちょう) わが名はまだき 立ちにけり
人知れずこそ 思ひそめしか

〈画像:Wikimedia Commons〉
現代語訳
現代語訳
恋をしているらしいと、私のうわさがもう立ってしまった。
まだ誰にも知られないように、ひそかに思い始めたばかりだというのに
語句解説
【恋すてふ】
「恋す」は「恋をする」という意味。
「てふ(ちょう)」は「という」が変化した語。
【わが名まだき】
「まだき」=「まだ早い時期に」「早くも」という意味の副詞です。
「私の噂がもう」という意味になります。
【立ちにけり】
「立つ」= 評判・うわさが立つという意味。
「にけり」は完了+詠嘆の助動詞。
「(うわさが)立ってしまったのだなぁ」という意味。
【人知れずこそ】
「人」=他人、周囲の人々。
「知れず」=四段動詞「知る」の未然形+打消の助動詞「ず」。
「こそ」= 係助詞で強調。
「思ひそめしか」に対応して係り結びを作っている。
【思ひそめしか】
「思ひそむ」は複合動詞です。
「思ふ(恋心などを抱く)」+「そむ(〜し始める)」が合わさり、「思い始める」、「恋をしはじめる」という意味になります。
「しか」= 過去の助動詞「き」の已然形。
「他人に知られないよう、密かに思い始めたばかりなのに」という意味。
作者: 壬生忠見
壬生忠見(みぶのただみ)〈生没年 不詳〉
〈画像:Wikimedia Commons〉
平安時代中期の歌人で、父は壬生忠岑です。
↓父である壬生忠岑の和歌を解説しています、こちらもご覧ください!↓
官位は六位下と高くはなく、政治的な出世にはあまり恵まれませんでしたが、和歌の才能で名を残した人物です。
代々宮廷に仕える下級貴族であり、教養や文芸を重んじる風土の中で育ったと考えられます。
壬生忠見の作品は、『拾遺和歌集』や『後拾遺和歌集』などの勅撰和歌集にも収録され、彼の歌風は素直で情感豊かであると評されています。
実はこの歌がきっかけで、失意のうちに人生が変わってしまったとも言われる人物です。
この歌は藤原定家が編んだ『百人一首』にも選ばれている一方で、有名な歌合(うたあわせ=歌の勝負)で敗れてしまった事が記録に残っています。
相手はあの有名な「清少納言の父」、平兼盛です。
↓平兼盛の和歌を解説しています、こちらもご覧ください!↓
壬生忠見はこの敗北にひどく落ち込み、遂には食事も喉を通らなくなり、そのまま亡くなったという逸話が伝わっています。
それほど繊細な人物だったのでしょう。
鑑賞:想い始めたばかりの気持ち、他人にすぐ気づかれてしまう💦
自分の恋心を密かに抱いていたはずなのに、既に周囲に「恋をしているらしい」と噂が立ってしまった事への戸惑いや恥じらいを繊細に描いた一首です。
「人知れずこそ思ひそめしか」とあるように、恋心は自分の胸の内に留め、誰にも知られぬように大切に思い始めたものでした。
しかし、「恋すてふわが名はまだき立ちにけり」とあるように、その感情がいつの間に滲み出てしまい、周囲に知られてしまったという事実に対する、驚きや切なさが伝わってきます。
表現そのものは平明で分かりやすいですが、内に秘めた感情はとても複雑で、素直でまっすぐな思いと、他人の目を気にする心との間で揺れる繊細な心を感じ取って欲しいです。
自分の思いが人に知られることの恥ずかしさや、まだ始まったばかりの恋が早くも噂になる事への動揺は今も昔も関係なく、恋に悩む人間の心の普遍的な姿を映し出しています。
読む者の心にそっと寄り添うような歌で、百人一首でも屈指の人気を誇る理由が分かります。
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