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【百人一首解説】NO.17  在原業平朝臣

百人一首

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今回の和歌

千早(ちはや)ぶる 神代(かみよ)もきかず 龍田川(たつたがは)
からくれなゐに 水くくるとは

〈画像:Wikimedia Commons〉

現代語訳

現代語訳

神々の時代にも聞いたことがないでしょう。

龍田川が、真っ赤な紅葉で水をしぼるように染め上げているなんて。

語句解説

【千早ぶる】

「神」にかかる枕詞。

語源的な意味ははっきりしませんが、「勢いが強い」「荒々しい」というイメージを神に重ねています。

【神代】

神々がこの世を治めていたという伝説上の時代。

「神の時代」という意味。

【きかず】

動詞「聞く」の未然形+打消し「ず」で、「聞いたことがない」という意味。

【龍田川】

奈良県の川の名前。

紅葉が美しい名所として古くから知られる。

【からくれなゐ】

鮮やかな濃い紅色で、現代の「深紅(しんく)」のような色。(下の写真)

外国(唐=から)から来た紅(くれない)という説がある。

【水くくる(括る)】

「くくる(括る)は、しぼる、まとめる、くくり合わせるという意味。

ここでは「紅葉で水を括る=水面が紅葉で染められている」という比喩的な表現。

【とは】

感動・驚きの終助詞。

「〜とは思いもよらなかった」というニュアンス。

作者:在原業平

在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)825年頃~880年頃

彼は平安時代前期の貴族であり、六歌仙や三十六歌仙にも選ばれた優れた歌人です。

↓兄は在原行平で百人一首NO.16に登録されている人物です。↓

容姿端麗で恋多き男性としても知られており、その生涯や逸話は後に『伊勢物語』の主人公「男」のモデルになったと考えられています。

伊勢物語の作中には、恋の逃避行・宮廷での恋・旅先での情景など、さまざまなエピソードが短編的に語られ、その多くに業平の和歌が挿入されています。

在原業平は桓武天皇の曾孫という高貴な血筋でしたが、臣籍降下して在原姓を名乗ることになり、政治的には大きな出世をしていません。(臣籍降下は皇族が苗字を貰い一般人として生きる事)

しかしその分、自由な恋愛や旅を題材にした風流な和歌を数多く残し、王朝文学の美意識を象徴する存在となりました。

鑑賞:龍田川の紅葉、一面に広がる🍁

紅葉に染まる龍田川の美しい情景を、神話の時代にも聞いた事が無い程だと、驚きとともに詠んだ一首です。

「千早ぶる」は「神」にかかる枕詞で、冒頭から荘厳な雰囲気を漂わせています。

そして「神代も聞かず」という言い回しで、紅葉が水面を真っ赤に染めるという現象の美しさや珍しさが、まるで奇跡のようである事を強調しています。

「からくれなゐに水くくる」とは、紅葉が川面に散り広がり、その赤がまるで水を括るように染め上げているという表現です。

視覚的に鮮やかで、自然と一体になった情景描写が見事です。

単なる風景描写にとどまらず、自然の美しさに対する深い感動や畏敬の念が滲んでいます。

この歌の魅力は紅葉という季節の美しさを、ただ「美しい」と言うのではなく、古代神話の時代にまで思いをはせて、「未曾有の奇跡」として詠んでいる点にあります。

時代と自然と心情が交差する、非常に完成度の高い和歌です。

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