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今回の和歌
16番 中納言行平(ちゅうばごんゆきひら) 『古今集』離別・365
たち別れ いなばの山の 峰(みね)に生(お)ふる
まつとし聞かば 今帰り来(こ)む


〈画像:Wikimedia Commons〉
現代語訳
現代語訳
あなたと別れて、因幡(いなば)の国へ旅立ちますが、
あの稲葉山に生えている松のように「待っている」と聞いたなら、すぐにでも帰ってきます。
語句解説
【たち別れ(たちわかれ)】
「人と離れて旅立つこと・別れる」という意味。
ここでは、愛しい人や親しい人との別れを指しています。
【いなばの山(因幡の山)】
因幡国(いなばのくに)=現在の鳥取県のあたり。
「因幡の山」は、因幡へ向かう途中にある山のこと。
作者(在原行平)が実際に因幡へ赴任する際に詠んだとされます。
【峰に生ふる(みねにおふる)】
「峰」=山のてっぺんや高い部分。
「生ふる」=植物などが生えている、育っているという意味の古語で、次の「まつ」と繋がっ ています。
【まつとし聞かば】
「まつ」は「松」と「待つ」の掛詞(かけことば)です。
文面的には「松が生えていると聞いたならば」と捉えられますが、「あなたが私を待っていると聞いたなら」という意味も込められています。
「し」は強調の助詞、「聞かば」=「聞いたなら」「耳にしたら」という意味。
【今帰り来む(いまかえりこむ)】
「今」=「すぐに」「ただちに」の意味。
「〜む」は、意志・推量を表す助動詞で、「〜しよう」と訳します。
「帰り来む」=「帰って来よう(と思う)」の意志を表す言い方
作者:中納言行平(在原行平)
中納言行平(ちゅうなごんゆきひら)〈818年頃〜893年頃〉
平安時代前期の貴族・歌人で、本名は在原行平(ありわらのゆきひら)と言います。彼は平安文学を代表する在原業平(ありわらのなりひら)の兄です。
二人は共に文才に恵まれ、「在五中将(業平)」と「在五右大将(行平)」として並び称される事もあります。
行平は朝廷に仕えていた官人(役人)でしたが、政治的な運命に翻弄されました。
特に因幡国(現在の鳥取県)へ国司として地方に左遷されるような形で赴任した事が、この和歌の背景になっています。
在原行平は文学的才能があり、後世の歌人や物語にも影響を与えました。
また『伊勢物語』の中の人物像のモデルの一人とされる事もあり、文と情の人として平安文化の中で重要な役割を果たしました。
鑑賞:大切な人への想い、赴任先でも🌲
この歌は愛しい人との別れの場面を、自然の情景と重ね合わせて詠んだ、しっとりとした余情を残す一首です。
「たち別れ」という冒頭から、都を離れ旅立つ寂しさがにじみ出ていますが、歌の核心は後半にあります。
「いなばの山に生ふる松」という自然の描写に、「待つ」という作者の思いを重ねた掛詞の技巧で、自然の描写と作者の気持ちが一気に見えてきます。
「待っていると聞いたならば、すぐにでも帰ってくる」という言葉には、相手を気遣い優しく思いやる作者の誠実な心が感じられます。
単なる別れの歌ではなく、再会の約束を静かに添えた希望と信頼のこもった恋歌です。
旅立ちの切なさと離れても変わらぬ想いが、余韻を持って伝わってくる一句です。
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