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5番 猿丸太夫(さるまるだゆう) 『古今集』秋上・215
奥山(おくやま)に 紅葉踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき


〈画像:Wikimedia Commons〉
現代語訳
人里離れた深い山で、紅葉を踏み分けて鳴く鹿の声を聞いた時こそ、
秋は本当にもの悲しいと感じる。
語句解説
【奥山(おくやま)】
人里離れた深い山
【踏みわけ】
踏み分ける(紅葉を踏んで進む)
【悲しき】
形容詞「悲し」の連体形。悲しいの意味。
作者:猿丸太夫(さるまるだゆう)
猿丸太夫 〈生没年 不詳〉
平安時代初期の歌人であり、『百人一首』や『古今和歌集』にその名が残る人物です。ただし、正確な生没年や経歴も分かっておらず、その人物像や実際の活動についてはほとんど記録がありません。
「猿丸太夫」という名も実名ではなく、仮の名前だった可能性があります。
その為、歴史上の人物というよりは、伝説的な歌人として語られる事が多いです。
彼の作風は、技巧に走ることなく、素朴でありながら深い感情を讃えています。
自然の中にある哀しみや美しさを、まるで目の前に広がる風景のように詠むのが猿丸太夫の特徴です。
彼は後に、平安時代の歌人の中でも特に優れた三十六人を選んだ「三十六歌仙」の一人にも数えられています。
限られた作品の中に、日本人の自然観や感情表現の原点を見ることができる、非常に印象深い存在です。
🦌 鑑賞:鹿の生命と秋の悲しさ
この歌は、秋の深まりとともに感じられる物悲しさを、山奥の自然の情景を通して詠んだものです。
人里離れた奥山で、紅葉を踏み分けながら鳴いている鹿の声が響くその瞬間に、作者は秋の寂しさを強く実感します。
紅葉の美しさと、鹿の切ない鳴き声という視覚と聴覚の両面から、秋の情趣が深く描かれています。
特に「鳴く鹿の声」は、古来より恋しさや孤独の象徴とされており、この歌でもそうした感情が色濃くにじみ出ています。
「時ぞ秋は悲しき」という表現には、「まさにこの時こそが秋の哀しさを最も感じさせるのだ」という強い心の動きが表れており、読者の感情にも静かに訴えかけてきます。
自然の中に身を置くことで、季節の移ろいや人生の儚さをしみじみと感じるという、日本人特有の美意識がよく表れている一首です。
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