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【百人一首解説】NO.5  猿丸太夫

百人一首

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奥山(おくやま)に 紅葉踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき

〈画像:Wikimedia Commons〉

現代語訳

人里離れた深い山で、紅葉を踏み分けて鳴く鹿の声を聞いた時こそ、

秋は本当にもの悲しいと感じる。

語句解説

【奥山(おくやま)】

人里離れた深い山

【踏みわけ】

踏み分ける(紅葉を踏んで進む)

【悲しき】

形容詞「悲し」の連体形。悲しいの意味。

作者猿丸太夫(さるまるだゆう)

猿丸太夫 〈生没年 不詳〉

平安時代初期の歌人であり、『百人一首』や『古今和歌集』にその名が残る人物です。

ただし、正確な生没年や経歴も分かっておらず、その人物像や実際の活動についてはほとんど記録がありません。

「猿丸太夫」という名も実名ではなく、仮の名前だった可能性があります。

その為、歴史上の人物というよりは、伝説的な歌人として語られる事が多いです。

彼の作風は、技巧に走ることなく、素朴でありながら深い感情を讃えています。

自然の中にある哀しみや美しさを、まるで目の前に広がる風景のように詠むのが猿丸太夫の特徴です。

彼は後に、平安時代の歌人の中でも特に優れた三十六人を選んだ「三十六歌仙」の一人にも数えられています。

限られた作品の中に、日本人の自然観や感情表現の原点を見ることができる、非常に印象深い存在です。

🦌 鑑賞:鹿の生命と秋の悲しさ

この歌は、秋の深まりとともに感じられる物悲しさを、山奥の自然の情景を通して詠んだものです。

人里離れた奥山で、紅葉を踏み分けながら鳴いている鹿の声が響くその瞬間に、作者は秋の寂しさを強く実感します。

紅葉の美しさと、鹿の切ない鳴き声という視覚と聴覚の両面から、秋の情趣が深く描かれています。

特に「鳴く鹿の声」は、古来より恋しさや孤独の象徴とされており、この歌でもそうした感情が色濃くにじみ出ています。

「時ぞ秋は悲しき」という表現には、「まさにこの時こそが秋の哀しさを最も感じさせるのだ」という強い心の動きが表れており、読者の感情にも静かに訴えかけてきます。

自然の中に身を置くことで、季節の移ろいや人生の儚さをしみじみと感じるという、日本人特有の美意識がよく表れている一首です。

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